ビデオ撮影の基本、フィックス
ビデオカメラでの撮影を行う時には、様々な撮影手法があります。
高度なテクニックが必要なものもありますが、何をするにもまずは基本をしっかりとマスターしていなければ、応用はできません。
ビデオ撮影において、もっとも大切な基礎中の基礎と言えるのが、フィックスと言われる撮影手法です。
簡単に言うなら、フィックスとはズームなども使わず、カメラを動かさずにじっとした状態で被写体を撮影する方法です。
簡単なように思えますが、映像の撮影でズームも何も使わずただ撮る、というのはなかなかに我慢が必要となります。
フィックスのポイント
フィックスで最も大切なことは、構図をしっかりと決めてから撮影するということです。
これがきっちり出来るようになれば、他の撮影技法が何も出来なかったとしても大丈夫になるくらい、重要なことです。
しかし、構図を決めるということは、簡単そうでいて意外と考える必要があることでもあります。
何故なら、意図していることや目的としていることによって、どのような構図がベストなのかが変わってくるからです。
ただ、何を表現したいと思っているのか、何を撮影したいのか、という撮影の意志と目的をはっきりさせ、それにはどのような表現が最適なのかということをしっかり考えることが出来れば、身についてきます。
プロのビデオカメラマンは、こういった考え方をしながら経験を重ね、プロになってからもこれを忘れずに勉強、研究を続けています。
簡単なようでいて、それくらい奥が深いことだと言えます。
では、どのような構図が良いのかということを、どうやって勉強するのが一番良いのかというと、テレビ番組や映画など映像作品を見ている時に、ただ何も考えずに見るのではなく、そういう問題意識を持って見ることです。
その際、バラエティやお笑い番組よりも、ドキュメンタリーや情報番組の方が適しています。
この他のジャンルでも、落ち着いて映像をしっかり撮影しているような番組であれば、勉強になります。
視聴者の目線ではなく、撮影者の目線を持って見るのが大切で、そういった意識で見てみると同じ番組を見ても全く違った印象を受けるはずです。
問題意識を持って映像を見て、分析する癖をつけるようにすると良いでしょう。
もう1つのフィックスでのポイントは、構図を決めて撮影を開始したら、秒数のカウントを頭の中ですることです。
たとえば、景色を撮影している時に、ただ長く撮影すれば良い訳ではありませんが、短すぎるとせっかくの景色をきちんと見ることができません。
必要と思われる秒数を効率よく撮影していくのが大切なのです。
風景などの情景描写であれば、10秒前後あれば十分です。
10秒前後の映像を構図を変えたり、場所を変えたりして色々なカットを撮影しておくことで、後から編集した時にテンポ良く見応えがある作品になるのです。
ただし、イベントの記録撮影やインタビュー撮影などではこの限りではありません。